水木しげると海外怪奇小説 PART 5
●「プラスチックマン」 「プラスチックマン」綱島書店 1958年
(「水木しげる漫画大全集 001 貸本漫画集① ロケットマン他」 講談社, 2013)
< PLASTIC MAN by Jack Cole (1914-1958)
原作のアメコミは未読ですが、ヒーローのキャラはそのまんまですね。
大全集001「解題」(茂鐵新報1-8号, 2013.09.03)では、原作への記述は皆無。約三年半後の2017年になって、
大全集002「飛だせ!ピョン助他」の解題(茂鐵新報3-4号, 2017.02.03)中の「プラスチックボーイ」の項に「本作と
『プラスチックマン』は、アメリカのクオリティ・コミックスが刊行していた『プラスチックマン』をベースとしていることが判明している。」、とある。原作については、海外で復刻版も各種出ているようですので、読みたい方はどうぞ。
ここで、余談となるが、「大全集」全体に言えることで、なぜ解題を本文に組み込まなかったのか疑問である。古書店や図書館經由で、"月報欠"の大全集を読む者には、解題に含まれる情報は伝わらないことになる。 別冊(茂鐵新報)のエフェメラルな形にしたのは意図的なのでは、と勘繰ってしまうのである。 [2024_07_07]
●「おゝミステイク」 「推理」第4号 中村書店 1959年
(「水木しげる漫画大全集 002 貸本漫画集② 飛出せ!ピョン助他」 講談社, 2017)30pp
→ 映画「悪魔のような女」 アンリ=ジョルジュ・クルーゾー監督 (仏 1955)
映画の内容は…
パリ近郊の寄宿学校。
校長のミシェルは妻クリスティーナの莫大な財産に支えられ、その地位を築いていた。
そして、女教師ニコルと公然の愛人関係にあった。
クリスティーナは横暴な彼に心を病んでいく。
同情したニコルは、ある日、ミシェル殺害をクリスティーナに持ちかける。
薬品の入った酒を飲んだミシェルは朦朧とし、二人に浴槽に沈められる…。
(「Oricon」データベースより)
その後、死んだはずの男のスーツが届けられる。クリーニング店を訪ねて、住所を
聞き出し訪ねてみるが夫はいない。
それから、探偵も登場し事件に関わってくる(水木の場合、たった3コマだが)。
そして、最後に死んだはずの夫が現れるシーンがコレ。
偶然の一致以上のものがあるのは明白。
なお、今回の ”発見” については、ひとえに、谷崎潤一郎「過酸化マンガン水の夢」
(「うんこ文学」収録, ちくま文庫,2023)によるものであることを付記しておきます。
(2023.7記)